2020年度

2020年度第6回 パレスチナ/イスラエル研究会

概要

  • 日時:2021年3月2日(火)15:00~17:00
  • 会場:zoomを用いたオンライン開催
    *次のフォーム(https://forms.gle/sngvuUgdYAUU1hyL9)から参加登録をお願いいたします(2月28日23:59までの登録を強く推奨)。

  • 報告者:中西俊裕氏(帝京大学)
    「湾岸戦争30年:現地取材を回想し、中東和平、湾岸情勢など域内への影響を考える」


  • 概要
    冷戦構造の崩壊を象徴する出来事だった湾岸戦争から今年1月で30年が経過した。当時新聞記者として筆者は湾岸危機中から戦争後の1990年代を通じ域内を取材する中で、米国の存在感の拡大、中東和平の機運の高まり、市場型経済の導入や社会などへの影響を体感した。記憶をたどりそれが30年後の今にどうつながっているのかを考える。

  • 主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 中東イスラーム研究拠点
    (人間文化研究機構「現代中東地域研究」事業)
    今回のオンライン研究会に関する問い合わせ先:c-hsuzuki87g.ecc.u-tokyo.ac.jp(鈴木啓之)
    研究会全体に関する問い合わせ:info_palestine_israeltufs.ac.jp

報告

 

2020年度第5回 パレスチナ/イスラエル研究会

概要

  • 日時:2021年1月23日(土)15:00~17:00
  • 会場:zoomを用いたオンライン開催
    *次のフォーム(https://forms.gle/bpTxMT7i2FvD8axs5)から参加登録をお願いいたします(1月21日23:59までの登録を強く推奨)。

  • 報告者:近藤重人氏(日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 主任研究員)
    「湾岸諸国の対イスラエル・パレスチナ政策:各国の政策の違いとその背景(仮)」


  • 概要
    2020年9月以降にアラブ首長国連邦とバハレーンがイスラエルと国交を正常化させたが、その背景は何であったのか。また、この動きはサウジアラビアなど他の湾岸協力会議加盟国(湾岸諸国)にも波及するのか。本報告では、湾岸諸国各国の現在の対イスラエル・パレスチナ政策に着目し、各国で政策に差が出た背景について考察する。そして、各国における「アラブの大義」の位置付けについても再検討する。

  • 主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 中東イスラーム研究拠点
    (人間文化研究機構「現代中東地域研究」事業)
    今回のオンライン研究会に関する問い合わせ先:c-hsuzuki87g.ecc.u-tokyo.ac.jp(鈴木啓之)
    研究会全体に関する問い合わせ:info_palestine_israeltufs.ac.jp

報告

 近藤重人氏の報告では、主に湾岸協力会議(GCC)加盟国の対イスラエル・パレスチナ政策の違いについての分析が行われた。まず湾岸諸国のイスラエルへの一定の歩み寄りが、オスロ合意後の1990年代に散見されたこと、また第二次インティファーダ以降それが後退したこと、加えて、2010年からはイランの脅威によるパレスチナ問題の後景化などについて触れられた。続いて、国別の考察では、UAEがイスラエルと国交正常化した背景には、対イラン感情のみならず、自国の経済の発展や技術の向上、アメリカとの関係正常化、あるいはトルコ、カタル等への対抗措置など、様々な側面があったことが述べられた。さらに、バハレーンについては、90年代から親イスラエルの気質が見受けられ、それが現在も続いていること、サウジアラビアの観測気球としての役割を果たしてきた側面も認められたことが指摘された。一方で、サウジは近年のムハンマド皇太子とイスラエル、アメリカとの急接近の中にあって、未だにサルマン国王の意向である反イスラエル政策が根強いこと、カタルにおいても、ハマース支援や反イスラエル的な傾向が認められるアルジャジーラの運営から、イスラエルとはガザ支援上特殊な関係がありながらも、決して相容れないものであることが述べられた。最後に、クウェートに至っては、湾岸戦争のPLO批判があるにも拘らず、議会レベルで親パレスチナ感情が非常に強いことなどが挙げられた(なお、オマーンは中立的)。まとめとして、UAEとバハレーンに続きイスラエルと国交正常化に乗り出すGCC国はまだないが、サウジをはじめ世代交替によって、より多様なイスラエル政策が進む可能性、特にそこにイランの脅威が影響していることが述べられた。
 今回の報告では、GCC各国が実に多様であることが改めて認識された一方で、強いて一貫性を見出すとするならば、ナショナリズムを主張するイスラエル・湾岸各国と、イスラム主義を掲げるイランの対立のようにも感じられた。そして何より、パレスチナ人が求める尊厳の回復や国への帰還といった人権の問題からの乖離も、改めて認識する機会となった。

立教大学兼任講師(元JVCエルサレム事務所) 金子由佳

2020年度第4回 パレスチナ/イスラエル研究会

概要

  • 日時:2020年11月22日(日)14:00~16:00
  • 会場:zoomを用いたオンライン開催
    *次のフォーム(https://forms.gle/446Xwp34EWqMNRzt8)から参加登録をお願いいたします(11月20日23:59までの登録を強く推奨)。

  • 報告者:南部真喜子(東京外国語大学 大学院総合国際学研究科 博士後期課程)
    「パレスチナにおける女性の逮捕・投獄体験」


  • 概要
    イスラエルによって拘束されたり、刑務所に収監された経験は、パレスチナ人社会のなかでどのように位置づけられているのか。今回の報告では、特にパレスチナ人女性に焦点を絞って分析を行う。

  • 主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 中東イスラーム研究拠点
    (人間文化研究機構「現代中東地域研究」事業)
    今回のオンライン研究会に関する問い合わせ先:c-hsuzuki87g.ecc.u-tokyo.ac.jp(鈴木啓之)
    研究会全体に関する問い合わせ:info_palestine_israeltufs.ac.jp

報告

2020年度第3回 パレスチナ/イスラエル研究会

概要

  • 日時:2020年10月18日(日)14:00~16:00
  • 会場:zoomを用いたオンライン開催
    *次のフォーム(https://forms.gle/BFovCk6F2udKBnFX6)から参加登録をお願いいたします(10月16日23:59までの登録を強く推奨)。

  • 報告者:菅原絵美(大阪経済法科大学 国際学部 准教授)
    「イスラエル入植地をめぐるビジネスと人権 国際的な人権保障制度における企業の責任と本国の義務の展開」


  • 概要
    イスラエルの入植活動に関連して、企業はパレスチナ人に対する直接的な人権侵害(労働問題など)を引き起こすだけでなく、入植地における検問所の監視・識別機器の供給、住宅・ビジネス開発の金融事業、入植地の天然資源のビジネス使用などによりイスラエル政府による人権侵害に加担してきた。このようなイスラエル入植活動に関与する企業の責任とともに、当該企業の本国の義務を問う動きが国連を中心とする人権保障制度のなかで展開されている。本報告では、国際人権法および「ビジネスと人権」の観点から現在までの到達点と課題を考察する。

  • 主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 中東イスラーム研究拠点
    (人間文化研究機構「現代中東地域研究」事業)
    今回のオンライン研究会に関する問い合わせ先:c-hsuzuki87g.ecc.u-tokyo.ac.jp(鈴木啓之)
    研究会全体に関する問い合わせ:info_palestine_israeltufs.ac.jp

報告

2020年度第2回 パレスチナ/イスラエル研究会

概要

  • 日時:2020年9月6日(日)16:00~18:00
  • 会場:zoomを用いたオンライン開催
    *次のフォーム(https://forms.gle/vt4jdTiQY1eX3Wnv5)から参加登録をお願いいたします(9月4日23:59までの登録を強く推奨)。

  • 報告者:澤口右樹氏(東京大学大学院総合文化研究科・博士後期課程)
    「イスラエル人女性兵士にとっての前線部隊の経験とは:経験部隊の異なる女性間の比較分析」(仮)

  • 主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 中東イスラーム研究拠点
    (人間文化研究機構「現代中東地域研究」事業)
    今回のオンライン研究会に関する問い合わせ先:c-hsuzuki87g.ecc.u-tokyo.ac.jp(鈴木啓之)
    研究会全体に関する問い合わせ:info_palestine_israeltufs.ac.jp


報告

 澤口右樹氏の発表は、イスラエルの女性兵士において、経験部隊の違いはどのような影響や差異を与えているのかに着目したものであった。
 はじめに、イスラエルにおいて政治・経済と軍の関係は極めて密接であり、軍でどのような立場で従軍したかがその後のキャリアに影響を及ぼすことが説明された。また女性は主に後方支援部隊で従軍する傾向があるものの、近年では前線で従軍する女性も増えていることが説明された。
 続いて歴史的側面の解説も行われた。かつて女性兵士の役割は新移民のケア等に限定されていた。しかし、90年代には軍隊内でのジェンダー平等は一般社会のジェンダー平等に影響するという観点から、より多くの職種を女性に開放するべきという見解が広がり、現在では前線での戦闘職を含め8割以上が女性に開放されている。
 澤口氏は、前線兵士へのインタビューを行った。その中で前線部隊の兵士が後方部隊を「つまらない」や「意義がない」と語っているとした。さらに、軍内のセクハラに対し、前線部隊の女性兵士の方が後方部隊よりも問題視する傾向が多いとし、前線部隊を後方部隊より優位に位置付けるヒエラルキーが影響しているとした。しかし、一方で前線部隊の女性兵士たちは同時に自らを男性兵士に比べて劣位と見なすヒエラルキーを受容しているとした。
 質疑応答では、「前線部隊」「後方部隊」という区分の妥当性や、イスラエルの文脈における「アラブ」「マイノリティー」の位置づけやその内実などを巡って、非常に充実した議論がなされた。

井森彬太(東京外国語大学大学院総合国際学研究科・博士前期課程)

2020年度第1回 パレスチナ/イスラエル研究会

概要

  • 日時:2020年8月23日(日)14:00~16:00
  • 会場:zoomを用いたオンライン開催
    *次のフォーム(https://forms.gle/4jrq5v1evzmSU9vC8)から参加登録をお願いいたします(8月21日23:59までの登録を強く推奨)。

  • ◆報告者:島本奈央氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科・博士後期課程/
        日本学術振興会特別研究員DC2)
        「Collective Punishment を通じた現在のパレスチナ占領政策制度の一考察(仮)」

  • ◇主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 中東イスラーム研究拠点
    (人間文化研究機構「現代中東地域研究」事業)
    問い合わせ先:鈴木啓之(c-hsuzuki87g.ecc.u-tokyo.ac.jp)

報告

 島本奈央氏(大阪大学)の報告は、イスラエルによるcollective punishment(集団的懲罰、連座罰などと訳される)の政策について国際法の観点から分析するものであった。collective punishmentは、特定の罪を犯したとされる個人だけでなく、その家族や居住共同体にも罰を科すことを指し、家屋破壊や遺体の返還拒否、境界の封鎖、外出禁止令などが代表例である。2015年にパレスチナ自治政府がICC(国際刑事裁判所)に加盟して以来、collective punishmentを含む、イスラエルの対パレスチナ政策を「戦争犯罪」として認定させる試みが進んでいる。ただし、島本氏によると、collective punishmentの定義や範疇については、意外にも、国際法上の共通見解が構築されているとは言いがたく、それ自体を一括して戦争犯罪と認定することは未だ難しい。特に議論の争点となっているのは、collective punishmentに「様々な程度の重さ」の犯罪行為が含まれていることである。島本氏は、この問題に対する一つの提起として、個々の政策(例えば被占領地の検問所の封鎖など)の累計という視点を導入し、「微細な犯罪」の累積もcollective punishmentを構成する可能性があると指摘した。
 報告後の質疑応答では、collective punishmentのみならず、パレスチナ問題と国際法の適用に関わる広範な議論が行われた。島本氏の報告は、国際人道法の文脈を重視したものであったが、人権法の観点を組み入れることで新たな活路が見いだされうるといったコメントがあったほか、そもそも、イスラエル政府がcollective punishmentを行う際の法的根拠は英国委任統治期の法令にあることから、「植民地主義の責任」という歴史的視点を追加する必要があることも指摘された。島本氏は、種々の質問に対して、国際法の知見を活かした応答を行い、総じて活発な議論が展開された。

文責:山本健介(日本学術振興会・特別研究員PD〈九州大学〉)