The land Question in Palestine, 1917-1939

パレスチナにおけるいわゆる「土地問題」について、膨大な委任統治政府の公文書群への分析に基づいて論じた著作。主に、パレスチナ地域に対する独自の利害をもった存在としての委任統治政府の土地政策を巡るシオニストとアラブ人地主の間の利害関係や政治的駆け引きを中心に論じている。

シオニストの「成功」の理由を、オスマン帝国による土地制度の近代化の失敗や、主にアラブ人名望家層や「不在地主」層の自らの利益追求した行動に求め、その中で翻弄されるアラブ人農民という構図を提示している。パレスチナの「土地問題」におけるある種のスタンダードな通説を知る上で基本文献だと言える。(吉年誠)