(マルジ・ズフール:パレスチナにおけるイスラーム主義運動の一大局面) مرج الزهور: محطة في تاريخ الحركة الاسلامية في فلسطين
1992年12月にイスラエル当局によって被占領地で活動するイスラーム主義組織のメンバーが大量逮捕され、レバノン南部マルジ・ズフールに追放される事件が起きた。イスラーム抵抗運動(ハマース)とイスラーム聖戦運動の2団体から400人を超える人びとが追放されたが、700ページ近い大部である本書は、その追放地での生活などを詳細に記述している。この事件で追放された者の中には、アブドゥルアズィーズ・ランティースィーやイスマーイール・ハニーヤなど、ハマースの中心的指導者となる人物も含まれ、彼らの政治信条にこの事件が与えたインパクトは少なからざるものであったと推測される。巻末の追放者リストは、追放者415名のうち411名に関して出身地や現在の消息(存命/死去)に関してまとめており、資料集として使用することも可能である。(鈴木啓之)