Bundist Counterculture in Interwar Poland
両大戦間期ポーランドのブンドの党外の諸組織ーー青年組織「ツークンフト(Tsukunft)」、「社会主義子ども同盟(SKIF)」スポーツ協会「モルゲンシュテルン(Morgenshtern)」、療養・教育施設「メデム・サナトリウム」、「ユダヤ女性労働者協会(YAF)」ーーについてそれぞれ一章を割き論じた研究書。筆者の問題意識は、1930年代末にむけて増大したブンドの影響力およびその限界を適切に評価するためには、これら諸組織を通じて形成されたブンド流の「対抗文化」を見る必要がある、というものである(p.6–7)。各諸組織の設立背景、構成員、活動内容など基本的な事項を網羅的に記述しており、基礎文献としての参照価値が高い。と同時に、各章が個別の切り口(ブンドのスポーツ協会「モルゲンシュテルン」とシオニストのスポーツ協会「マカベア」との比較や、ツークンフトで議論された若者の性教育問題など)から論じられており、ブンドとその周辺の人々の問題意識や旧来のユダヤ社会とのギャップなどを具体的に垣間みることができるという点でも有用な研究である。(西村木綿)