Exile from Exile: Israeli Writers from Iraq

国家建設以前からヨーロッパ出身のユダヤ人が中心となって発展していたイスラエルの文学界で、イラク出身のユダヤ人はミズラヒームとしては唯一多くの作家を輩出している。本書は第一部でこうした状況の歴史的背景と特徴を「離散文学」という観点から論じ、第二部ではイスラエルにたどり着いたイラク人作家について、言語選択の観点から言及している。また、イラク人作家の初期作品で否定的に扱われるトピックとしてマアバラー(移民のための一時滞在所)を挙げている。本書はイラク系作家の文学をイスラエル文学のひとつとして位置づけることに成功している。(細田和江)