New Social Movement and Democracy in Palestine: A Model for the Politics of Civil Society in the Arab World

「新しい社会運動」の観点からパレスチナ被占領地(ヨルダン川西岸地区ならびにガザ地区)を検討した研究書である。市民社会の観点からパレスチナを扱うものであり、完全な国民国家の状態にはない事例への適用が限界を抱えることも垣間見える。しかし、イスラエルに対して抵抗してきた市民社会が、パレスチナ暫定自治政府成立後にヤースィル・アラファート大統領によって統制を受け自律的な社会活動が崩壊したとする分析は、特筆に値する。(鈴木啓之)