The Palestinian Hamas: Vision, Violence, and Coexistence
パレスチナの政治社会運動ハマースの思想と活動の戦略的側面を、イスラエル国家とパレスチナ自治政府との相互作用に焦点を当てて政治学的に分析する一冊。合理的な主体としてのハマースが、暴力の行使や自治政府との共存、選挙への対応などにおいて、いかにして費用と便益を計算して自らの振る舞いを決定してきたかを明らかにする。特に、1996年の第1回パレスチナ立法評議会選挙への参加の是非をめぐるハマース内部の議論で使用されたという回覧文書の紹介と考察は、多数の文献で引用されている。
著者は共にイスラエル出身の政治学者である。本書は2000年に発表された第1版に続く第2版であり、2000年から2006年までの期間を扱った序論が含まれている(清水雅子)。