Land, Labor and the origins of the Israeli-Palestinian Conflict, 1882-1914.

シオニストの入植史を植民地の比較研究の視点から捉え直すことで、ユートピア的「ヘブライ労働」の概念に批判を加えた研究。従来のイスラエル社会学の主潮流が、第二波アリヤーに力点を置き、「ヘブライの労働」イデオロギーを自己発展的なものとして捉えているのに対し、同書はこれをアラブ人の存在という現実と直面するなかで生じた排他的なイデオロギーとして再定置した。著者はイスラエルの「批判的社会学者」の代表格であり、同書はイスラエル社会の成り立ちをアラブ人/パレスチナ人との関係の中で理解するための視点を提供している。(金城美幸)