From Religious Zionism to Zionist Religion: The Roots of Gush Emunim

第三次中東戦争以降に誕生した、宗教右派ユダヤ人の入植運動グッシュ・エムニームに関する概説。

本論文の特徴は、グッシュ・エムニームの起源として、1950年代に設立された宗教シオニストの青年グループ「ガヘレット」に着目する点と、ユダヤ・ナショナリズムを「近代的で世俗的なメシア主義」と見なし、宗教シオニズムの変遷を①宗教と社会の対立、②伝統と近代の対立、として考察する点にある。

本論考では特に、ガヘレットのメンバーが宗教シオニズム内での革命を目指し、それが「民族宗教派セクター全体への決定的な影響力、さらにはイスラエル社会とその統治制度のアイデンティティへの決定的な影響力行使」へとつながっていった過程が考察される。ガヘレットの誕生からグッシュ・エムニーム興隆へと至る道程は、シオニズムの宗教化と正統派のシオニズム化の過程であるという著者の主張は、宗教シオニズムや入植地問題の歴史的意味を考える上で重要であろう。

著者は、ヘブライ・エルサレム大学社会学部教員。(今野泰三)