Illusion of Development under Israeli Occupation: The Political Motivations of Donors to the Palestinians

著者Nassar Ibrahimは、ヨルダン川西岸地区のベツレヘムを拠点としイスラエルによる占領政策やパレスチナの国際援助に対するアドボカシー(政策提言)活動を積極的に展開する現地NGO “Alternative Information Center”の政策担当者。本書は、“自由”や“エンパワーメント”を掲げ展開されてきた「開発」プロジェクトがドナーの恣意的で政治的な利益に従って展開されてきたがために、そのプロジェクトの失敗がパレスチナ経済に持続性でなくイスラエルへの構造的な従属をもたらす結果となったことを描写する研究書である。

特徴として第四章では、「パレスチナ改革・開発計画2008−2010(PRDP)」というパレスチナ自治政府の3カ年開発計画が事例研究として取り上げられ、最近のパレスチナ自治区での援助方針を確認できる他、開発と占領の関係が国際機関の報告書や現地NGOの提言書などのプラクティカルな内容からまとめられている。(塩塚祐太)