Labour and the Political Economy in Israel

イスラエルの社会経済構造について、労使関係を中心に、福祉国家レジーム論に基づいた分析を行った著作。イスラエル建国から1986年の経済危機までを扱っている。それまでのイスラエルの労働運動や労使関係に関する議論の多くが、主にキブツなどの入植地における労働シオニズムというイデオロギーを前提もしくは出発点としてきたのに対し、本論は日本も含む他国との比較という視点を取り入れ、区分化された労働市場やヒスタドルトについての分析から、いわゆるマパイ体制をイギリス委任統治期の民族対立の遺産の上に成立したコーポラティズムの一形態として議論している点が特徴的である。(吉年誠)