The Jews and Minority Rights: 1898-1919

ロシア・東欧のユダヤ人の「民族的権利」や「自治」を求める思想や運動を全体的に見渡した古典。前半は、シモン・ドゥブノフ、ハイム・ジトロフスキー、ナータン・ビルンバウム等、ユダヤ・「ネイション」としての意識を発展させそれに依拠して民族自治を唱えるようになった思想の系譜や、フォルキスト、ブンド、領土主義、等々シオニズム以外でユダヤ人の民族権利を求めた緒運動について概説されている。後半は、第一次世界大戦後の「少数民族保護条約」の締結過程(各国のユダヤ人代表が大きく関わった)や、少数民族保護の実態について論じられている。初版は1933年と古いが、様々な潮流を包括的かつバランスよく見渡しており、入門書としての参照価値が高い。(西村木綿)