The YIVO Encyclopedia of Jews in Eastern Europe

ユダヤ研究で分からないことがあればまず参照する辞典として、最も高名なのはEncyclopaedia Judaica（2006年版が最新）であろう。だが、「東欧」のユダヤ人に関してより多くの情報を得たいと思えば、まず参照されたいのがこのThe YIVO Encyclopedia of Jews in Eastern Europeである。東欧ユダヤ研究の世界随一のセンターであるYIVO Institute for Jewish Researchが監修している。初版が2008年と新しく、各項目の参考文献に最新の研究が盛り込まれてるということがまずありがたい。2010年に公開されたウェブ版（http://www.yivoencyclopedia.org/default.aspx）では、「記事」「地図」「写真」「ドキュメント（手紙や公文書など現資料の写真。ただし、書籍版で図版として掲載されているものに限る）」など種類別の検索もでき、大変便利である。書籍版とウェブ版どちらを使うかは好みの問題だが、知っておきたいのは、ウェブ版では、書籍版にない「音声資料」「ビデオ」などのデータも掲載されているほか、項目からの直接リンクでCenter for Jewish History（YIVOのほかいくつかのユダヤ研究施設が共同で運営している研究機関）へ飛び、項目に関連する蔵書の資料の検索も同時に行なえるこということ。項目によっては参考文献がアーカイヴ資料のみの場合もあるが、この場合もワンクリックでYIVOのアーカイヴのインヴェントリ（目次のようなもの）をダウンロードできることがある。もちろん、項目間の相互参照リンクもつけられている。（西村木綿）