The Zionist/Jewish and Palestinian/Arab National Movements: The Question of Legitimacy—a Comparative Observation

パレスチナ/イスラエルにおける紛争を、「シオニスト/ユダヤ」と「パレスチナ/アラブ」の間の対立と定義したうえで、双方の敵もしくは「正統な」交渉相手に関する認識をおおむね標準的な形で描いている論文。両者を対等なものとして描く点で良くも悪くもポリティカル・コレクトネスに従った議論ともいえる(いわゆる二国家解決案の背景の一つにはこうした歴史・地域認識がある)。その限りにおいて主要なポイントを過不足なく捕捉しており、真新しいことは特に書かれていないものの、一つの手っ取り早い整理としては参照の価値がある。なお、本論文は、当雑誌の"Shared Narratives: A Palestinian-Israeli Dialogue"という特集のなかの一本である。著者は、ヘブライ大学名誉教授で、中東・イスラームが専門。(鶴見太郎)