Israel, A Colonial-Settler State?

パレスチナへのシオニストの移民・入植と、その結果生まれたイスラエルを「植民地主義的な入植国家」として分析することを提唱した先駆的研究。

著者は、パレスチナでのイスラエル国家建設を「19 世紀と20 世紀におけるヨーロッパとアメリカの強大な拡張運動に完全に適合するプロセス」と見なし、その目的は「他の諸集団の中に新たな住民を入植させること、あるいはそれらの諸集団に対する経済的・政治的な独占を確立すること」にあったと論じる。そして、このプロセスは不可避的に、植民地主義的状況と人種主義的な思考様式の発展、そして最終的には軍事的対立につながったと論じる。

移民・入植や植民地主義に焦点を当ててイスラエルを分析した研究としては他にも、大岩川和正、板垣雄三、藤田進、Gershon Shafir、Oren Yiftachel、Baruch Kimmerling、Elia Zureik、Haim Yacobi、Edward Said、Nur Masalhaの著作・論文がある。(今野泰三)