ממלכתיות: התפיסה האזרחית של דוד בן-גוריון [マムラフティユット:ダヴィド・ベングリオンの市民概念]
ベングリオン等、イスラエル建国初期の指導者においてキーワードになっていた「マムラフティユット」の起源とその内容を検証した、テルアビブ大学の政治学者による研究書。「マムラフティユット」は「国家性」「国家主義」などと訳すことができる言葉で、フランス語のetatismと同様のものとされることもあるが、著者によると、むしろロシア語のgosudarstvennost'に起源をもつという。なぜなら、建国当初の多様性・混沌を統制するためにベングリオンはこの語を用いたからであり、ロシア語のこの概念も、多民族国家ロシアの一体性を強調する時に用いられていたからである。本書はさらに、「ラヴォン事件」(イスラエル当局が、エジプトでムスリム同胞団による仕業と見せかけてイギリスの施設を爆破しようとして失敗した事件)にいたるまでにくり広げられたこの概念をめぐる議論なども掘り起こしている。
国家を運営したことがなかったユダヤ人が実際に国家を持つことになったときに国家という概念をどのように考えたか、という視点から読むのも興味深いだろう。むろん、それは多分に今日までの紛争に関連してもいる。(鶴見太郎)